ホイジンガ 遊びと人間

遊びと人間、最終ページ

ごまかしをやる者よりも悪い者がいることも、忘れてはならない.それは、規則を馬鹿にしたり、規則には根拠がないと言ったりして、遊ぴを提み、あるいは蔑む者である。
ホイジンガが例にあげている、ダービーを見るために英国に招かれて、自分には或る馬が別の馬よりも速く駈けることがちゃんと分かっていたと言ったために謝まらせられたペルシアのシャーのような人のことである。
聖なるものについても同様である・こういった「祭に水をさす人」(aguafiestas) すなわちうわぺだけの懐疑論者や、疑い深い人ほど、文化にとってぷちこわしなものはないのだ。
彼らは、何事につけても薄笑いをうかべ、そのことで、自分を偉いものに見せられると無邪気に思いこんでいる。
自分たちで、もっと愉快でもっと大事な新しい遊びの規則を作ろうという心づもりで偶像を破壊し、トクセイを行なっているなら話は別だが、そうでないかぎり、彼らは、無限の苦労が蓄積してきた貴重な宝を、徒（あだ）し心から傷つけているにすぎないのだ。